AB社コラム第7回は、前回に引き続き
今もてはやされているキーワード「Transformation」は、日本では難しいのでは?と考える理由についてお話します。


日本人は「結果よりも過程を重視する」。

前回のコラムでは、
「Transformation」が日本では難しい理由として、
日本人の考え方や、行動習慣が、「Transformation」に向かないと思うから、というお話をしました。
その具体的なもののひとつが
「日本人は定義をしない」ことです(詳しくは、前回のコラムをぜひ!)。

もうひとつ、
「日本人は結果よりも過程を重視する」考え方も、「Transformation」に向かないと思います。

日本では、手段が目的化しがちです。
頑張ったことを結果の一部にすり替え、努力することが課題だったと堂々と言えるのです。
「日本人は定義をしない」ので、頑張った先の目的をはっきりと定義しないままに努力を始め、その努力を称賛します。

例えば(また雑に例えてすいません!)
糖尿病になりたくないと考えている日本人が大多数でしょう。
なぜ糖尿病になりたくないの?と聞くと
健康で長生きしたいから、と答えるでしょう。
では、健康で長生きして、何をするの?と聞かれて、答えられるでしょうか?

健康で長生きをする目的を定義せず、
結局は長生きすることが目的となってしまうのです。
本来であれば、長生きをすることは目的を達成するための手段です。


過程が大事なので、目的を聞いてはいけない。

日本の組織でも、
「やった」「努力した」というプロセスを重要視するので、
とりあえずやることが目的になります。

IoTを導入してデータマネジメントをしよう!との掛け声は良いのですが、

ではデータマネジメントしてそれを使ってどうするんですか?
何の目的でIoTを導入したのですか?

IoT導入の実作業をしている人にそう聞いても、
目的をしっかり答えられる人はあまりに少ない。
だってもともと定義されていないことがほとんどだから。

でも、日本では「何の目的で?」としつこくしつこく聞いてはいけないのです。
一生懸命やっている人に、目的を聞いてはいけない。
過程を重視するから。


「Transformation」をすることが目的になる。

「Transformation」とは、組織をどうしたいのか、
どんなあるべき姿になりたいのか、そこに至るための手段のはずです。

だからこそ、
まずは「Transformation」による結果を定義しなくてはならないのに、定義しない。

「Transformation」は目的を達成するための手段なのに、
「Transformation」をすることが目的になる。

そして、決算報告会というような締切までにできたことを
「DX(Degital Transfomation)しました」として提出。
DXの先のあるべき姿を定義していないので、
DXを頑張ったことを結果にすり替えて、
「DXした」という評価になるのです(締切に出したものが課題、との話は前回のコラムをぜひ!)。

つまり、このような考え方、行動習慣の国では、
本来の意味の「Transformation」なんてできるわけない、と思います。

と、ここまで言いたいことを言ってしまいましたが、
今の日本企業が危機感を感じて、
組織を見直し、変えて、生き残っていこう、との方向性は
その通りだと思います。現状維持は衰退です。

そのキーワードが「Transformation」で無理があるのでは?

無理に「Transformation」を掲げることで
逆に停滞してしまったり、変えられなかったことが
たくさんあるような気がしてなりません。

もっと適したキーワードがあるのでは?
と思っていた時に出会ったのが「Augmentation」でした。

なぜ、「Transformation」よりも「Augmentation」が日本企業に合うキーワードだと思ったのか?


その答えは、また次回に!続く。