最近は円安で、海外に出かけるのもお金がかかって大変です。

円高だった頃は良かったな〜!
海外旅行もいっぱい行けたし、輸入品は安く買えたし。
日本企業は海外にガンガン進出していたよね。

などと懐かしむこともあると思いますが、今やすっかり円安に。海外に進出した日本企業はどうなっているのでしょうか?そして、先細りが見える国内の日本企業の今後は?国内従業員はどうなる?

そんな話を今回はしたいと思います。

日本の工場が海外に移転していた円高時代。

かつて日本の企業は、国内の工場で作った製品を海外に輸出しまくりました。優れた日本製品は海外でモテまくり、外国企業や人から代金を円で受け取りました。
(または、代金として受け取った外貨を円に換えました)

これは円高要因だったはずですが、当時のドル円レートは360円固定。
アメリカに「固定していただいていた」おかげで、日本はどんどん豊かな国へと変貌していきます。

しかし、1980年代後半、ドル円レートは変動相場制へ。

ここから一気に円高は進みます。
かなりの円高を受け入れ(させられ)て、工場はガンガン海外に移転します。生産の空洞化が話題になったのもこの頃ですね。

海外に移転した日本企業の工場は、これまで培ってきた日本のモノづくりの技術を海外に教えてあげました。その結果、日本も海外もハッピーになる。

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今の日本の中高年は、日本のイメージがこの時代のままで止まっている人がたくさんいます。「グローバルに羽ばたくジャパニーズビジネスパーソン」のイメージです。

しかし、こんなめちゃくちゃナイスな商売が成立したのは、実はほんの10年くらいです。

海外に移転した工場は、円安でも日本に戻ってこない。


いまや日本のグローバル企業は

・利益は、海外3:国内1の比率になりつつある。
・海外でのビジネスは連結経営しているだけ。
・海外での利益は、そのまま海外での事業拡張に再投資。
・国内従業員の待遇改善「なんか」に、海外の利益を使う余裕はない。海外パートナーも株主もそんなことは許さない。

ということで、国内従業員の待遇改善は、国内で稼がなくてはなりません。

では、国内で稼げるか?と考えると、これはかなり苦しいものがあります。

30年前からの円高で海外に出ていった日本企業の工場は、円安が進んでも戻ってきません。

確かに日本は円が安く、人件費も物価も安いです。

しかし、需要が先細りになっていくことは、間違いありません。

だったら、需要が伸びる海外に生産拠点を持つほうが効率的です。コロナでグローバル物流が完全に止まったように、今後も疾病や戦争で物流が止まることを考えても、海外に生産拠点があったほうが良いのです。

オフィスワーカーは、少ない仕事をみんなで分かち合ってきた。

海外に生産拠点が移転していく一方で、日本では本来「工場ワーカー」としてプロフェッショナルな道を進んでいくべき人も、「オフィスワーカー」に仕立ててきました。

ちょうどこの頃、大学が大量に設立されます。
祖父母も父母も良かれと思って大学に進学させ、「大卒でスーツを着たオフィスワーカー」が大量生産されます。

しかし、オフィスワーカーの仕事は、本来の工場ワーカーになるべき人々をすべて吸収できるほど、たくさんあるわけではありません。

少ない仕事を、オフィス従業員みんなで回し合って、増やし合い、分かち合う。そんな奇妙な風習が各社で育まれていきます。

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苦労してかさ増ししてきた仕事を減らさないようにして、自分たちのポジションを守ってきたのです。

一定の周期で空気を読めないヤツが現れ、オフィス業務の効率化を進めよう!と言い出したら、職場というムラの掟で懲らしめて追い出してきました。

その結果、DXはまったく進まないわけですね。

DXがまったく進まないので、次の策として「リスキリング」がやってきました。仕事をかさ増ししてきたオフィスワーカーを、デジタル人材に転じさせて利益を生み出すワーカーに変えようという試みです。

でもこれも、

「なんで!わたしが!大卒の学歴を活かし、実績とスキルを築き上げてきたのに、それをすべて捨てて、新しいスキルを身に着けなくてはいけないのか?今のスキルは使えないというのか!!!」

という感じの中高年のプライドが邪魔をして、ものすごい反発にあい、まったく進んでいません。

DXも、リスキリングも、進まない結果。

DXもリスキリングも進まず、相変わらずたいして多くないオフィスワークを分け合っているのですが、経営者たちは見過ごすわけにはいかなくなりました。

上場企業は株価を上げなくてはならないから。

そして今、早期退職勧奨ブームが訪れています。

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エッセンシャルワーカーは空前の人手不足だけど。

ChatGPTなどAIの進化を考えても、この流れは止まることはなく、オフィスワーカーはますますダブついていくことでしょう。

オフィスワーカーがダブつく一方で、エッセンシャルワーカーは空前の人手不足です。

今すぐエッセンシャルワーカーの技能修行を開始したほうが良いですが、プライドが邪魔になっているようで、これもなかなか進まない。

だったら海外からの移民を増やそう、という議論も出ていますが、
いまの円安の(=稼げない)日本に来てくださる方は、どんなバックボーンを持っているか?少し考えればわかることです。

日本各地で、移民が多い地域での治安問題が噴出しているのも、このような流れの一環です。

今すぐ日本人も「スーツを着た大卒オフィスワーカー」への幻想を捨てたほうが良いことは間違いありませんが、祖父母の代から言い聞かされ、染み付いたプライドが邪魔になっています。

以前もかきましたが、今の日本はリスキリングの前にリプライド(Re:pride)をして、仕事を分け合うオフィスワーカーからの脱却を進めていく必要があります。