「DX」、つまり「Digital Transformation」が進まないわけは、そもそも「Digital」というものが日本企業の従業員が使えることを前提としているのが間違っているのではないか?とのお話をしたいと思います。

目次

  1. 機械わかんないから、デジタル改革なんてしたくない。
  2. DXが従業員にスルーされる理由とは?
  3. 従業員がみんなPCを使いこなしていると思っている?
  4. OAは、「OJTで自然とできるようになる」ほど甘くはない。

機械わかんないから、デジタル改革なんてしたくない。


世の中は「DX」の言葉があふれています。

よし、我が社もDXだ!口だけじゃないぞ、しっかりお金を投資する!

と決意され、実際に莫大な投資をしている経営者の方も多くいらっしゃいます。
DXはトップダウンで号令をかけないと動かないと言われていますからね。

でも、なかなかDXが進まない。

なぜ進まないのか?と聞くと、かなりの確率で

「経営陣は必死にお金をかけてやっているのに、現場がDXに抵抗する」

とのこと。現場が今までの仕事のやり方、考え方を変えるDXに反発しているとおっしゃる。

しかし、それは違います。
今までのやり方を変えることに抵抗しているというよりは、

「OA能力があまりにも低いから」デジタル改革を嫌がるのです。

デジタル使いたくないもん。だって機械できないから。機械わかんないから。という状態です。

つまり、抵抗しているのではなく、シンプルにできないのです。

DXが従業員にスルーされる理由とは?

そんな状態で「DXを進めるべし」と言われても、
現場の従業員にとっては「ゴルフ80で回れ」「ショパン弾けるようになれ」と言われているように聞こえます。

クラブを握ったことがない人や、ピアノで猫ふんじゃったしか弾けない人にそんなことを言ったら、

「いやいやご冗談を。まさか本気でできるとは思っていないんですよね、ギャグですよね。」

と思われます。それと同じです。

「いやいやご冗談を。まさか社長、機械に弱い我々にDXができるとは本気で思っていないですよね?」

と従業員たちは感じているのです。だからスルーされて、DXが進まないのです。

従業員がみんなPCを使いこなしていると思っている?

日本で「OA(オフィスオートメーション)」が言われだしたのは、昭和の時代、今から40年も前のこと。
そこから始まり、平成の世では手書きの代わりとして「変化なきべんり化」に貢献しました。
Microsoft officeに代表されるようなべんり化ツールは、多くの会社で導入されました。

→詳しくはコラム28回で!

だから、自分のような《えらい人》と違って、《えらくない人》はみんなOAできるもんだ、と思い込んでいる人がたくさんいます。

それどころか、OAこそ《えらくない人》がすることだと信じて疑わない人も、まだ存在します。

「おーい派遣さん、ゼロックス焼いてくれ」「いやあ、ITと経理と英語は苦手でねえ」

そう言えることが、ステータスだと思っている人が、まだたくさんいます。令和のこの世でも。
だから、自分のような《えらい人》は、OAなんてやらなくて良いと考えているわけです。

《えらい人》は自分が経験したことがないので、OAの難しさをわからない。
そのため、《えらくない人》人たちは号令をかければ全員がDXに進むはず、と信じています。

しかし、おそらく従業員の9割が、ゴルフで言えば130くらい、OBチョロ空振り連続の初心者さんたちです。
「パワーポイントやExcelがそこそこできる」と称する方が10%くらいおられましたが、それでも100を切るくらい。

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「でもまあ、若い子はみんな大丈夫でしょ」と思っていませんか?

それは違います。若手の方々がむしろダメです。
キーボード触ったことない、卒論もスマホで書いて提出することが普通の時代。

見るに耐えない下手くそ職場コンペ、それがいまの日本企業の実相です。

それなのに、対外的に「全社挙げて、一丸となって、DXに取り組んでいきます!」と宣言することは、従業員さんに向かって「PCの練習なんて、べつにしなくていいんだよ」との熱いメッセージを送っていることになります。

OAは、「OJTで自然とできるようになる」ほど甘くはない。


しかし、こう考えてしまうのは経営者だけの責任ではありません。

「御社のDX化を推進します!」と言って営業をかけてくる「DXコンサル」「DXツールメーカー」の中にも、同じように号令をかければDXは進む、と信じている人がいるからです。自分では何もやったことがなくても、机上の理屈でプレゼンテーションはできてしまいますから。
※もちろん、全員がそうだというわけではありません。

立派なカンファレンスを開く外資ビッグファームでも、契約書は紙とハンコ、メール添付はPPAP、というところもあります。《えらいコンサルタント》はその実情を知らないと思いますが。
※すべての会社がそうだというわけではありません。

つまり、OAは「OJTで自然とできるようになる」「業務をしていれば自然に身につく」ほど甘いものではありません。

まずは現場で働いている先輩方がOAできないわけですから、OJTしたら謎のルールや非効率な仕組みなど、ダメなDNAを脈々と引き継ぐだけです。

トレーニングはもちろん時間もコストもやる気も必要ですが、それは従業員の一生の財産です。
面倒なことは間違いないので、反発があるかも知れませんが、振り返ったときに感謝されるはずです。

組織の課題解決をしようとしたとき、「DXで課題解決」はカッコよくスマートになれるように聞こえるかも知れませんが、上記のような「ホントの病巣」を治さないと根本的な治療となりません。
AB社は、「ホントの病巣」を治療するアプローチです。

胃腸が悪いのに、顔のシワ取りだけにお金をかけても、時間とお金のムダですよ。