
前回は、閉塞感がある組織を変えていくには、「1on1対話」で現状に至った経緯と事情を理解し合うことが有効だとお話しました。
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第73回
目次
- 経緯への敬意が確認できない組織の特徴
- 経緯への敬意が確認できている組織の特徴
- 過去だけではなく、現状の敬意を得る努力が必要。
- 組織における「経緯への敬意」まとめ
経緯への敬意が確認できない組織の特徴
しかし、現状に至った経緯を理解し合い、人間関係が開放に向かうことは、組織にとって持続的な成長のために必要なステップに過ぎません。開放されただけでは、成長が実現するわけではないことを認識しておきましょう。
ではなぜ、閉塞感がある組織、現状に至った経緯をリスペクトできない組織では成長できないのか?
それは、経緯への敬意がない組織では、現状の問題を指摘することが難しいからです。
日本では、現状についての建設的な指摘であっても人格否定と受け取られることが多く、「おれのやり方が間違っているのか!?」という感情的な反発を招くことが珍しくありません。「ハラスメントだ!」と騒がれるリスクもあります。

その結果、指摘しづらくなり、意見交換もできず、組織全体の成長が妨げられます。
経緯への敬意が確認できている組織の特徴
それに対して、現状に至った経緯をお互いに確認できている組織であれば、「あなたの現状はこういう課題がある」と客観的に評価し、指摘し合うことができます。「こう変えてみてはどうか?」と前向きな意見交換をできる環境も生まれます。
現状に課題があると指摘されたからと言って、決してそれまでの経緯を低く評価しているわけではなく、しっかり敬意を持っている。

経緯への敬意が明確であれば、人格否定やハラスメントと受け取られるリスクは低くなり、組織の閉塞感を打破しつつ持続的な変化と成長へつなげることができます。
過去だけではなく、現状の敬意を得る努力が必要。
また、もうひとつ認識しておきたいことは、変化と成長を続ける組織のメンバーは「過去の敬意」だけではなく「現状」においても敬意を得る努力が求められることです。
現状への敬意とは、組織に対する貢献の対価です。それは、自分がやりたいことではなく、組織の需要に応え続けることによって得られます。
供給したいことよりも需要があること。
商品やサービスと同じですね。
例えば、難しい資格を取ったとしたら、その瞬間は敬意を持たれるでしょう。すごいね!と。しかし、それだけでは組織からの敬意は持続しません。
資格取得のために必死に学んだことを活かせる機会はめったにありません。自分がやりたい仕事だけをやるのではなく、他者からの「やってほしい」という需要に応える言動を続けること。
資格を取ったことを感じさせずに「組織への貢献をさせてください」という態度に徹することができるかどうか、そこが(日本の)組織で持続的な敬意を受け続けるためには必要です。

組織における「経緯への敬意」まとめ
まとめると、
「経緯への敬意」がない組織では、建設的な指摘も人格攻撃と受け取られやすく、その結果組織の変化と成長を妨げます。
「経緯への敬意」が確認できている組織では、建設的な意見交換が可能となり、持続的な変化と成長を実現できる環境が生まれます(これだけで実現できるわけではないことに注意!)。
そして、組織で敬意を得るためには、過去だけでなく現状においても組織に貢献し続けることが必要です。