シリーズ最終回は、よく寄せられる質問をもとに整理します。
「自利ファースト」とは何か。
「利他」はどうすれば実践できるのか。
誤解されやすいポイントを、順に確認していきます。
目次
- Q1|自利ファーストは「自己肯定」と同じですか?
- Q2|利他のためには、他人に強い関心を持つ必要がありますか?
- Q3|利他行動のために、どんな準備が必要ですか?
- ① DIY力(自分でやり切る力)
- ② 上機嫌キープ力
- Q4|AI時代に本当に残る人は、どんな人ですか?
- 最後に
Q1|自利ファーストは「自己肯定」と同じですか?
いいえ、同じではありません。
いま世の中で使われている「自己肯定」という言葉は、
しばしば「どんな自分でも丸ごとOK」「ありのままをそのまま是認する」という意味で使われています。
たとえば、他人(自分の子どもも含む)に嫌われるのが怖いという理由から、
ダメ出しをせず、叱らず、とにかく「肯定」してしまう。
一見やさしく見えますが、それは
「嫌われる」という自分の不利益を避けたいだけの行動であって、
本当に相手の成長を願っているとは言えません。
そこには利他の気持ちはありません。
自利ファーストは違います。
自分を尊重しながら、ダメなところはしっかり否定する。
本当に大切な人に対して改善点を指摘するのと同じです。
利他行動の最初の対象は自分自身です。
まず自分に利他できる人(=自利ファーストの人)が、
他人に対しても利他できるのです。
Q2|利他のためには、他人に強い関心を持つ必要がありますか?
必ずしもそうではありません。
自利ファーストで利他する人は、他人に過度にのめり込みません。
それは他人を軽んじているからではなく、自分のエネルギーを自利に集中させているからです。
自利ファーストで利他する方々には、
他人を自分自身よりも「推す」ことや、他人の「粗探し」をすることに、リソースを費やす余裕がありません。
利他の対象になり得る相手には、淡々と行動する。
そうでない相手とは、静かに距離を置く。
他人を支配しようとしたり、
「こんなにしてやったのに」と言いたくなったりするのは、
すでに自利ファーストではありません。
自分を尊重し、自分を鍛え続けるだけで精一杯。
その自利行動を差し置いてまで、他人に過剰な関心を向けることはありません。
Q3|利他行動のために、どんな準備が必要ですか?
利他は、力がなければできません。
人助けをするには体力や技術が必要なのと同じで、
利他にも土台となる力があります。
① DIY力(自分でやり切る力)
自分で手足を動かし、一定レベルまでやり切る力です。
これまでの社会では、「人にやらせる力」が評価されがちでした。
しかし今は、自分で一定水準まで仕上げられる人が強い。
利他は「投げる」ことではありません。
自分でやれる人だけが、他人の負担を本当に軽くできます。
② 上機嫌キープ力
利他を続けられる人には共通点があります。
それは、不機嫌で他人を支配しようとしないことです。
「上機嫌をキープする力」を日ごろから鍛えている人は、
不機嫌を使って周囲をコントロールしようとしません。
不機嫌は場の空気を一瞬で変えます。
しかしそれは利他とは正反対です。
上機嫌キープ力のある人は、
自分の感情を外にぶつける前に引き受けます。
そして、自分の経験であっても、それを客観視し、相対化することができるのです。
上機嫌キープ力とは、
感情を抑え込むことではなく、
自分の感情を扱えること。
それが、持続可能な利他の土台になります。
Q4|AI時代に本当に残る人は、どんな人ですか?
資格やスキルは必要条件です。
しかし、それだけでは十分ではありません。
その力を利他に使い、
しかも「こんなにやっているのに」と言わない人。
相手の発言にすぐ「でも」「だって」と返さない人。
まず肯定し、場を整える人。
自分を尊敬できる人は、他人も尊重できます。
そういう人は、一緒に働いていて疲れません。
AIが進化するほど、
「知っている人」よりも、
「自分を整え、他人を消耗させない人」が選ばれます。
それが、自利ファーストから生まれる利他の力です。
最後に
このシリーズでお伝えしてきたのは、
「優しい人になりましょう」という話ではありません。
まず自分を尊重し、
自分を鍛え、
自分の機嫌を自分で守る。
その結果として、
自然に他人を消耗させない人になる。
AIが進化するほど、
残るのは、肩書きではなく、その人の在り方です。